今までのジュエリーは、きらきらと美しく、くもりなどなくきっちり仕上げられるものが大半でした。
でも本当にそれだけだろうか。「手を加えすぎない美しさ」こういう概念が自然界にはある。
ナチュラルで、素朴。ほっと人の心をなごませる佇まい。
ぴかぴかに磨き上げてしまうのではなく、その少し前で鋳肌の美しさを残して仕上げる。
その日の気温にも左右されるという鋳造だからこそ、鋳肌にもまったく同じ表情というのは存在しない。
そういった２つとない武骨さやラフさが、正反対の美しさを持つカラーストーンやダイヤモンドと対比すると
透明感を持つ宝石たちが、より、凛と、美しさが際立つ。

金属が柔らかいぬくもりを見せる鎚目（つちめ）の仕上がり。
金鎚の「鎚」を冠するその技法は、正に一打一打、丁寧に金鎚で叩くことで生まれる「偶然の衝動」がテクスチャーとなったものです。
金鎚を叩くことで表面がキラキラと輝いたり、石のような自然の風合いをみせる。
ひとつとして同じ形ではなく、その模様のひとつひとつが見る角度によって、光の角度によって、表情を変える。
飽きの来ないシンプルかつ存在感を感じさせます。

粗めの紙ヤスリを交差させるようにしながら、丁寧に手作業で入れていきます。
その後に真鍮のブラシで磨くことによってこのテリを出しています。
手作業で丁寧に入れた絹糸のようなテクスチャーでマットながら、まるでアンティークゴールドのような品の良い仕上り。
マットでも地味にならないように、テクスチャーの細かさや３方向から模様を付けて繊細さを醸し出す、この仕上がりが完成しました。
シルクサテンのようなつややかな光沢が魅力です。

原点は、本物の枝や幹をそのまま型どって鋳造してみたことから。
その味わいある表情に惚れ込み、完成したのがこのテクスチャーです。
ソロバンカッターという道具を使い、一筋一筋ていねいに表面を削っていくことで金属なのに有機的なぬくもりを感じさせてくれる。
大量生産にはない「手仕事」が感じられる仕上がり。

先端にダイヤモンドが付いた工具を使い、振動でメタルに細かな模様をつけていく。
遠目からは、そこにダイヤモンドが留まっているかのような煌めきを放ちます。
それはまるで雪の世界に舞う砕氷が陽の光を浴びてキラキラ輝くあの幻想的な風景のよう・・・。
模様同士が密着しすぎない程度の間隔を開け、仕上げで表面を磨くことでざらつきを抑えています。